京都議定書の発効で注目度高まる
省エネ「超音波霧化分離技術」の実証装置が完成
香料やアミノ酸,医薬品のパートナーを求む


 超音波を照射して霧を発生させることにより,水溶液中の目的物質を効率良く分離できる「超音波霧化分離技術」が,注目を浴びている。加熱して分離・濃縮する蒸留法などの既存のプロセスに比べ,大幅にエネルギー消費量を削減できるからだ。2005年2月16日に京都議定書が発効し,二酸化炭素などの温室効果ガスの排出削減が義務付けられた。「超音波霧化分離技術」は,地球環境時代に適合した革新技術と目されている。
 この開発を進めているのは,超音波醸造所有限会社(徳島県鳴門市,本多洋介社長)。創業以来200年余りの歴史を持つ老舗の日本酒メーカーである株式会社松浦酒造場が,超音波振動子の開発・製造や応用技術で世界をリードする本多電子と共同で02年10月に設立した企業。同社は,技術開発を通じて省エネルギー,省コスト,非熱,高度分離を実現することにより,社会に有益性を提供することを理念としており,「超音波霧化分離技術」の高度化を進めている。独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)産業技術実用化開発助成事業を活用し,産業技術研究所とは水クラスターの解析,名古屋大学とは化学工学的な研究,同志社大学とは流体力学,学習院大学と霧の物性などの研究に取り組んでいる。
 「超音波霧化分離技術」は,強力な超音波を溶液に照射することで霧(ミスト)を発生させ,この霧を急速冷却することにより目的の物質を分離・濃縮する技術。溶液を薄い層にしておき,液下面から表面に向けて超音波を照射すると,霧が発生する。この超音波霧化は,非熱作用であることから,省エネルギーの観点から大きな潜在力を持っていると期待されている。
 まずは日本酒の醸造に松浦醸造場が2000年までに実用化した。その後,超音波醸造所はこの技術の高度化に取り組んでおり,分離対象物質の拡大と,装置の大型化とプロセスの改良によるエネルギー消費量の削減を進めている。
 04年11月には,超音波を発生させる部品である超音波振動子を200個装着したプラントを完成させ,試運転を開始した。さらに05年5月には,さらにプロセスの最適化を進めた同300個のプラントが完成する。この300個のプラントでは,従来法に比べ3分の1のエネルギー消費量を達成できる見込みだ。
 超音波醸造所は,香料やアミノ酸,医薬品など,付加価値の高いファインケミカルの分離・濃縮に,この「超音波霧化分離技術」の適用を広げていきたい考え。共同開発するパートナーの企業を求めている。
 個々の溶液系について「超音波霧化分離技術」を適用できるかどうかは,まずは超音波振動子を1個あるいは4個装着した試験装置で試す。超音波醸造所は1検体3万円で,この試験の受託を開始した。試験装置の販売も04年10月から開始した(装置代は200万円から)。この試験で良好な結果が得られれば,スケールアップして工業化の可能性を評価することになる。


 超音波醸造所からの提案:
(1)  超音波霧化分離技術の適用範囲を拡大するため,分離試験の一部を外注したい。様々な物質の組み合わせごとに分離パターンを特定したデータベースの構築を進める。
(2)  試験用小型機を販売する代理店を募る。
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記事要点掲載先:日経BP.JPTech-On!




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